ジロラットGirolate

舞台役者となった3人

ジロラットGirolateを理解するには、まずその発祥となった人々の紹介をしましょう

ジャン=ルイ・デスパーニュ:
先駆者

198112
第三回ダカールラリーに参加。トンブクトゥとウアガドゥグを結ぶ700キロの距離を疾走、大会開始後13日で一番苦しい区間です。この日、レース開始以前に既に40人が棄権。バイクで挑んだのは血気溢れる36人で、区間を突破したのはうち24人。皆、ラリーの創始者である故ティエリー・サビーヌの腕に倒れこむように区間を終了。そしてその7日後、苦戦に耐えた24人が全員揃ってダカールの海岸にたどり着いたのでした。
体力よりも強い精神力があれば、なんでも成し遂げられる・・・

こうしてジャン=ルイ・デスパーニュは人生観を培い、子供たちに“絶対不可能なものは存在しない”と教育したのでした。

ティボー・デスパーニュ:
発想家

10歳の彼の夢は、クロスカントリーバイクで世界一になることでした。

学業についたことでその夢は自然と遠のいていきましたが、何事も諦めないハングリー精神は常に健在。1998年にワンンメーカーである父のチームに加わり、自分らの生まれ育った愛する大地、アントル・ドゥ・メールでワインを造り始めます。こうして、このアペラッションにはまだ存在しないプルミエール・クリュを造ろうと野心を燃やすことになったのでした。

ジョエル・エリサルド:
専門技術者

クロスカントリーバイクの愛好家としてはや30年。ジョエルはワイン醸造家として比類ない才能があります。エリサルドという苗字はバスク地方が起源で、純粋な固い意思という意が込められています。彼自身は穏やかで謙虚の一言につきます。現存するワインメーカーがし得ないことでも可能にしてみせる、そんな彼がジロラットGirolateを誕生させる大切な役割を担うこととなりました。

新しい発想で探求

vin blanc girolate
vin rouge girolate

“夢を追いかけなさい、人々はついて来るから”

最初に植樹を開始した区間が位置する集落名のジロラットGirolateは、ガスコーニュ語で« 陶芸家の地 »を意味します。ここの地質は粘土質で、その下は巨大な石灰層。18世紀にボルドーの町に次々と建てられた石造りの建造物の原材料となったことでよく知られています。

メルローのみを高密度(ヘクタールあたり1万本)で栽培。これはブルゴーニュやメドックの著名な畑で実施されている栽培形式。ちなみにボルドー右岸でこの形式を導入したのは私たちが初めてです。

高密度栽培はテロワールの味を引き出すのに欠かせません。

そしてこちらは新しい栽培区画です:

« ラ・ムート » 2006年に植樹、同じく高密度栽培で品種はソーヴィニヨンとセミヨンの二種類です。サンテミリオンの気品あるクリュを鋭く見つめる、ぽつんと高い小台地に位置します。

« デリエール・シェ・バザリン» 2012年に初めてカベルネ・フランをヘクタールあたり1万本植えました。ここの地質はかの有名な粘土石灰質で、木の支柱を畑に打ち込むだけで3ヶ月もかかったという、筋金入りの石灰層が特徴です。

« コット・モン・ペール » 2018年にカベルネ・フランとマルベックを植える予定です。この急斜面の小さな丘は35%がもろい石灰質で、デスパーニュ家の宝石とも言える土壌。夢にまで見たテロワールに命を吹きかけることとなるでしょう。

vin blanc girolate

醸造所は小さな教会のような建物。現在まで例のない醸造技術は、その後フランス内はもとより外国へも知られるようになりました。

実にシンプルな醸造法 : 手作業で選別したブドウの粒を傷つけないように、ゆっくり粒ごと樽に入れ、そのまま樽で発酵。

キーポイント:

-土壌が醸し出す僅かなニュアンスも漏らさず全て把握(一樽に注入するブドウは約200kg、ブドウの木にすると約300本分)

-ブドウの自然な風味を存分に生かすため、名高い他地域の白ワイン同様、全てのブドウを樽で発酵

-大切なアロマをなるべくそのまま保持できるよう、時間をかけてゆっくりフリーランジュースを抽出し、味わいを整える為にプレスジュースを使用

ミシェル・ロランは2001年にこう発言しています« この先10年のうちに、トップワインメーカーは皆デスパーニュの醸造法を採用するだろう。新たなベストワイン醸造のお手本だ。»

あのハーランエステート(カリフォルニアで一番有名なワイナリー)のビル・ハーランをはじめ、様々なワインメーカーが見学に訪れています。ちなみにビルは彼の醸造チームを率いて水面下で進行中の新たな醸造法を見に来ました。

そして2009年、私たちは新たな発見を目の当たりにします!有機ワインメーカーが集って結成したビオディヴァンの試飲会がロンドンで行われました。

そこで私たちはワインが放つ繊細さと深みのある味わいに愕然。これは挑戦すべきだと直感、残念ながら今は故人となったジャック・メルの助けを借りて、ビオ・ビオディナミワインの長い修行に乗り出すことになります。
2014年にはドメーヌ・ルフレーヴ(ピュリニーモンラッシェ)のアントワン・ルプティドゥラビニュが指導に来ました。

アントワンは理工科エンジニアの学生として、2006年にデスパーニュへ研修に来たことがあり、私たちのワインは勿論、私たちのワインへの情熱もよく知っています。それを踏まえた上で、自然環境の観察と尊重を主体とした複雑な事象を事細かに伝えてくれました。ジロラットGirolateに応用できるよう、適切なアドバイスが施されました。

破天荒・ジロラットGirolate

bottle girolate

初ヴィンテージが2001のジロラットGirolateは前代未聞のワインと賞されます。ミシェル・ロランは «新たなベストワイン醸造のお手本»と言及。
グラン・ジュリー・ヨーロピアン主催のボルドー右岸ブラインドテイスティングでは、有名シャトーを越えるスコアを出しました。ロバート・パーカーは «信じるためには一度飲んでみるべき»とコメントしました。

こうしてジロラットGirolateは«アントル・ドゥ・メールのスーパースター»とジャンシス・ロビンソン(ジャーナリストでマスターオブワイン)に言われることになり、その傑出した個性で世界各地のワイン専門家・愛好家を魅了するようになります。

アントル・ドゥ・メールという« 質素なテロワール»から生まれえたこのワインは、世界の優れたワインと競合するようになります。しかしそれは同時にワイン界でのしきたりを揺るがし、驚かせ、時には一部の保守的な人々にとって目障りな存在ともなったようです。

«やりすぎではないか»とアンドリュー・ジェフォードは言いますが、故郷のテロワールをもって常に上を目指す私たちの意欲が尽きることはありません。

ジロラットGirolate:ユニークな特徴

畑はガロンヌ河の右岸、つまりポムロールとサンテミリオンの左岸という、ガロンヌ河とドルドーニュ河の二つの大河に挟まれた場所にあります。

ジロラットGirolateはボルドー左岸の優れた技術と、ボルドー右岸の豊かな大地の折衷により生まれました。

心を開いて新しい事に物怖じせず耳を傾けることさえできれば、ボルドーは活力溢れ革新的になれるとジロラットGirolateが証明します。その昔ローマ人がこの地で初めてブドウを栽培して以来、人々はその文化を受け継ぎ発展させてきました。例えばポムロールはたった60年前に頭角を現したのですが、それもテロワールを生かそうと従事した人々がいたからこそのこと。

ジロラットGirolateを是非知ってもらいたい、それは新たなボルドーワインに目を向けることでもあるのです。

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